キツネとタヌキ【e20】

           

 

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 ● キツネとタヌキ  
  
 昔は狐や狸がよく悪戯をして人の好い人間をだますという話があったようだ。
 田舎でのこんな話を聞いた事がある。現在は国道9号線で自動車の往来も多くドライブインもある谷間地峠での事です。 昔は狭い道で人家もなく寂しい峠であったそうな。この峠を夜遅く村に帰る途中、真っ暗な中を月明かりで歩いていると、路端の汚い野壷の中に浸かって気持ちよさそうにしている村人がいた。
「どうしたんだい!」 「いいお湯だよ....」
「バカ! お前は狐にだまされてるんだよ」・・・・本当にあった話だそうな。
 今でも夜の繁華街では酔っ払って電柱の根元に座って心地よさそうに眠っている人を見かけることがある。  現代においては人間も賢くなり、キツネや、タヌキにだまされる話は聞かなくなった。しかし今の人間は人を上手にだます。 そして又だまされる人が又、沢山いるのも事実である。オレオレ詐欺や架空請求による振り込め詐欺など被害が跡を絶たない。
 
 先日電車に乗っていると、ある駅から小柄な若い女の子が小さな紙袋を持って乗って来た。 そして私の前にあいている座席に座った。電車の中はほぼ満員である。しばらくすると紙袋から小さな手鏡を取り出し自分の顔を眺めている。 「鏡よ、鏡よ、鏡さん。世界で一番美しいのはだ〜れ!」・・・・・じゃあ あるまいしと思って見ていると、またまた袋から化粧道具を取りだし、睫毛や眼の周りを黒く塗りだした。 口や顔にも何か、やたらと塗りたくっている・・・・・! 別人のような顔になった。 電車が駅に近づくと、その娘は化粧道具をさっさと袋にしまい、席を立ってドアに近づいた。
 「ありゃ人間じゃない・・・・」そのうしろ姿に僕の眼が釘付けになった。
 お尻に尾っぽが生えているんじゃないかと。
 そう、だまされているんだろうか! 可愛いタヌキに・・・・・いや人間に。


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