初夏の暖かい日差しの中を歩くのは気持ちの良いものである。
それも歩く人の少ない里山を歩く。
今日は妻と娘、三人でハイキング。
緑に囲まれた山の中、野草を観察しながら歩く。
「アラッ すかんぽ」日当たりのよい草むらの
中に背伸びをして伸びているのを妻は目ざとく見つけた。まだ花は咲いていない。
「これ食べられるのよ」。一本手折ってきた。
「太いのがいいのよ」。ふたつに折ると
「カッポン」と涼しい音がしてみずみずしい茎がふたつに折れる。
皮を剥いて口の中に入れるシャキシャキと口当たりが好いが少し酸っぱい味がする。
「これはユキノシタ 薬草、火傷やかぶれに効くのよ」楽しそうに 娘に教える。
「アラッ ミツバ」澄んだ川の水辺の土手に生えている。
「今夜の吸い物の薬味に採って帰りましょうか」。
すかんぽ は採って帰ったが上手く調理できなかったようである。
子供の頃とは味覚も触感も違うものだ。
ハイキングは子供の頃の楽しかった田舎での生活を思い起こさせるひと時である。
すかんぽの花咲くころ(北原白秋・詩)
土手のすかんぽ、ジャワ更紗(さらさ)
昼は蛍(ほたる)が、ねんねする
僕ら小学、一年生
今朝も通って、またもどる
すかんぽ、すかんぽ、川のふち
夏が来た来た、ドレミファソ
懐かしいメロディー(山田耕筰・作曲)が頭の中をよぎる。
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