エッセイ・・・オモイツクママ

大比叡






  ◆ 軽登山【e24】
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 ● 国土地理院測量用三角点を訪ねて  
 登 山……といえば山岳部やワンダーフォーゲル部に属しザイルやアイゼンを装備し重い荷物を背負った登山を想像しますが、私の場合このような本格的な登山ではない。  
 今までに登山やトレッキングの経験も無く還暦を過ぎてからのシニアの軽登山・ハイキングである。近隣の低い山を日帰りで、森林浴をかねて遺跡や野草、過去の歴史を楽しみながら歩く。周囲には多くの山々があり、次々と何かに憑かれたように異なった山を登るようになった。まだ足腰のしっかりしている内にと。  

 明るい新緑の登山道。道端には白、赤、黄色の鮮やかな花が所々に私たちを見送ってくれている。  
 ゆるやかな登り道が山あいの谷間に続く。GOROGORO009.JPG そのうちに道も狭くなり小石のゴロゴロとした登り道がくねくねと続く。足元に繁れる笹の葉を、緑の葉に覆われた.木立の中、静まり返った山の中、鳥の鳴き声だけが聞こえる。妻の口数もだんだんと少なくなり、少し歩き疲れてきたので一休み。静まり帰った雑木林の間を吹き抜ける涼しい風に一息を付く。  

 再び山頂を目指して歩き始める。周りは生い茂る笹や雑木、道は更に急勾配になる。  
 「何でこんなにしんどい思いをしてまで登らねばならんのや」と妻のぼやき、手に握るストックにも力が入る。彼女は田舎育ちでいつも見慣れて生活の一部になっていた山々、登山にはまったく興味が無い。関心があるのは山に咲く野草と心配性なのか僕の付き添いである。  

 次第に歩く速度が遅くなり、先を歩く僕との距離が後方に離れ遅れてくる。やがて木立に覆われているが周りに高い山は見えなくなり明るくなってきた。  
 「もうすぐ山頂だよ」と励ます。尾根コースに出ると道はゆるやかになるがまだ先がある。最後の急な勾配を登りきると、やっと明るい頂上に出た。  

 山頂は広々としている。RYUUOU004.JPG山頂にある国土地理院測量用の三角点にハイタッチ、記念写真を撮る。眼下には今苦労して登ってきた町の建物がジオラマのように見える。涼しい風に吹かれながら素晴らしい周りの景色を堪能する。妻も感激しながら写真を撮っている。  
 お昼どきである、早速今朝造ったおにぎりを食べる。おかずもある、デザートもある、食後の温かいコーヒーは何にも変えられないほど美味しい事か。  

 帰りは反対側の登山道を降りる。今度は妻が先頭である。急勾配の下り道、階段上の石ころの多い細い道を軽やかに降る。僕は降りが苦手である。だんだん遅れながらも足元を慎重に見ながら歩く。ゆるやかな道になると追いつく。こんな事を繰り返しながら何時の間にかふもとの町が見えてくる。妻の顔にも笑顔が見られ達成感が感じられる。野草を見つけてはカメラを向けて饒舌になる。  
  また次回も違った山に挑戦しよう。今度は「もっと低い山にね」と妻はいう。

  関連ページ → 「ハイキング・軽登山紀行」 


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