オモイツクママ

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 ◆大阪市内ハイキング【215】


平成28年1月5日

ハイク登山 エッセイ 旅行日記 短編小説 詩(poem) スキー紀行 写  真
●  玉川駅〜中央市場前〜中之島〜北浜〜天満橋駅  (2016. 1. 5)

 水の都大阪の町を象徴する中之島を西から東に幕末から明治への文明開化の舞台となった歴史の足跡をハイキングしてきました。地下鉄玉川駅から南西に歩いて中央市場前で堂島川に出ます。ここが中之島の西端近くです。川沿いの右岸沿いにここまで約20分くらいです。
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 江戸時代には水運に恵まれたこの地も葦が茂る低湿地でしたが「河村瑞賢」によって1684年に開削された安治川によりその後の海運の発展に寄与し、この水運の利便性から中之島周辺には諸藩の蔵屋敷が建ち並び大阪の商業の中心地として天下の台所、水の都と呼ばれました。

 002.JPG 中之島を右に見てさらに東に歩くと新なにわ筋、あみだいけ筋、なにわ筋(堂島川に架かる橋は玉江橋です)を渡って朝日放送本社ビル沿い20m位の所が中津藩の蔵屋敷跡で1834年「福沢諭吉」誕生の地です。後に蘭学者・緒方洪庵の適塾に入門します。川に面して立派な石碑が立っています。
 この蔵屋敷の並ぶ地(中津藩、延岡藩、壬生藩、久留米藩、秋田藩、上田藩、長岡藩、尾張藩)も明治以降官庁、学校、病院(後の大阪大学医学部付属病院)にそして2008年朝日放送本社ビルが建ちました。 (↑タイトルの古地図、クリックすると拡大します
 
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 004.JPG 更に先に進み田蓑橋(右に橋を渡って中之島に入ると自分のよく訪れる国立国際美術館と大阪市立科学館が並んでいます)を渡らずに川沿いを歩きます。

 田蓑橋北詰角、大阪中之島合同庁舎前に捜松岡塾跡の碑。1861年(文久元年)開設された漢学塾です。


 005.JPG 道路を渡ってNTTテレパーク堂島ビルの駐車場前に西朝陽館跡の碑です。五代友厚製藍所西朝陽館跡の碑です。並んで明治天皇聖躅碑、大村藩蔵屋敷跡の碑が立っています。
 ここまで堂島川に向かって碑が並んでいます。多くの蔵屋敷が並び、かつて物資の輸送がこの川を船で運ばれていたんでしょう。
 
 006.JPG直ぐ先に頭上を阪神高速11号線と阪神高速1号環状線が走り、やがて四ツ橋筋、渡辺橋北詰です。右へ渡辺橋を渡ると中之島です。今度は中之島を横切り肥後橋北詰に歩き土佐堀川右岸の遊歩道、中之島緑道を北に淀屋橋に散策します。所々にオブジェがあります。
 
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 淀屋橋は土佐堀川に架かる橋で江戸時代の豪商「淀屋長安」の私財で架橋されたもので、御堂筋(国道25号線)の橋で、中之島に対になっている堂島川に架かる大江橋とともに「国の重要文化財」に指定されています。

007.JPG 淀屋橋北詰の御堂筋に出ると左角に日本銀行大阪支店です。この敷地の中に駅逓司大阪郵便役所跡の碑があります。飛脚制度の郵便官営に明治政府は「前島密」に命じて郵便役所がこの地におかれました。日本の近代郵便制度発祥の地です。前島密は近代郵便制度の創設者の一人として1円切手の肖像画は有名である。

 御堂筋を挟んだ東側には大阪市役所です。市役所の地下二階にある食堂でお昼にします。昆布うどん300円、きつねうどん320円・・・・他に日替わり定食、和食、洋食、008.JPG中華等たくさんありセルフサービスです。もう一箇所はレストランで弁当は500円位でした。食事休憩の後は市役所の案内所で大阪の観光マップ等資料を貰い更に歩きます。

 東隣りには大阪府立中之島図書館です。正面には右から左に「大阪図書館」とあります。正面はギリシャ神殿を思わせる円柱の柱、この図書館は明治37年に「住友吉左衛門」の寄付によって建てられたネオバロック様式の近代建築です。現在「重要文化財」に指定されています。
 毎年12月中頃には大阪光のルネサンスで図書館正面の壁面をスクリーンとして 投影され音と光のエンターテイメント(entertainment)が行われます。
 
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 久しぶりに中に入ります、中央ホールを除いて撮影禁止です。一階入口は両側から入ります。正面から左には新聞の閲覧室が有ります。全国紙や業界紙など地方紙はマイクロフィルだそうです。狭い廊下を挟んで部屋があり昔の古色蒼然とした雰囲気が漂っています。
 正面の石段を上ると直接二階で正面ホール、左右に廊下があり、貸出し、返却カウンタービジネス資料室などがあり、三階は大阪の資料、古典籍、貴重書、ビジネス関連資料等があります。閲覧は開架式の書架もあるがほとんど閉架式で司書さんに請求すると数分で選んでくれます。60年前、学生の為に自習室もありましたが今はありませんでした。

 図書館に並んで「重要文化財」の大阪市中央公会堂、通称・中之島公会堂があります。この建物も当時、株式仲買人であった「岩本栄之助」の寄付によって建てられ大正7年に完成しています。鉄骨煉瓦造地上3階、地下1階建で大小の集会室、会議室があり、発表会、講演会、展示会に利用できます。大きなホール(集会室)は各種の講演会や集会が行われ大阪フィルハーモニー交響楽団のコンサートも行われます。
 地階部分にはレストランがあり、側面から入った奥には展示室(無料)があり岩本記念室になっています。
 
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007-1.JPG 公会堂の地階レストランに降りる石段の手前に大阪通商会社・為替会社跡の碑が建っています。明治2年、「五代友厚」らの尽力で新政府が設立した会社で当時はまだ制度がなじまず明治7年解散しましたが、それぞれ株式会社の形態、銀行設立に向けての仕組みが、大きな役割を果たしました。

 011.JPG(通商会社は商業振興や国内諸商品売買の仲介・外国貿易を統括し、後の株式会社に。 為替会社は預金・紙幣発行・資金貸出・為替・洋銀・両替などの金融業務を行うことにした。両替商から国立銀行に。)

 最初この碑の場所がわからず、その先に並ぶ東洋陶磁美術館に折角ですから入館してきました。

 再び戻って中央公会堂から安治川を渡り北浜2丁目、さらに南に80mほど歩いたところを右に曲がった所、場所に似合わない古い民家があります。ここが旧緒方洪庵の住宅「重要文化財」で適塾の有った所です。
 012.JPG適塾は蘭学者で医師でもある「緒方洪庵」が天保9年に大阪瓦町に設立した塾で現在の塾は天保14年に過書町に引っ越した当時のままの建物で江戸時代の船場中流商家の建築をほとんどそのまま残しているそうです。幕末・維新にかけて活躍した福沢諭吉、大島益次郎、大島圭介、高峰譲吉など多くの人材を輩出しています。大阪大学医学部の前身で、現在大阪大学が管理運営しています。

 013.JPG 適塾を出て今度は東に北浜に350mほど歩くと「五代友厚」が創設した大阪株式取引所で1945年終戦に伴い立ち会いを停止。戦後1949年大阪証券取引所として株券の売買を開始。2013年東証と経営統合をして現物株式の取引を終了して現在は大阪取引所に組織変更しています。
 中に入ると広いホールに大型モニターには日経225先物取引の取引値が表示されています。ソファがありまばらに人が座っています。テナントの飲食店もあるようですが先に歩きます。

 川沿いを天満橋に歩きます。途中天神橋で安治川と堂島川の分岐で一緒になり大川と名前が変わります。大阪取引所から天満橋駅まで土佐堀通りを歩いて990mです。
 ここからまだ先に造幣局・造幣局博物館、宣布館、旧藤田邸庭園・藤田美術館、太閤園・淀川邸と続きますが、過去にもそれぞれ歩いているので今回は天満橋駅で地下鉄谷町線で帰宅することにしました。(歩行距離:約5.15km)

 ●今回は地下鉄千日前線玉川駅からスタートでしたが、JR福島駅からでも便利です。歩かれる方に参考のためルート地図を貼り付けました。遠方の方は地図を参考にお読みいただければと思います。
 ●大阪の中之島は北側を流れる川を堂島川、南側を土佐堀川と呼び、この二つの川に挟まれた中州でそれぞれ多くの橋が架かっています。商業ビルや官公庁が建ち並ぶ中之島より上流を大川(旧淀川)、下流を1684年河村瑞賢によって開削された安治川が大阪湾に流れる。
 関連ページ→ 大阪市内ハイキング・茶臼山・天王寺公園【252】NEW
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