エッセイ・・・オモイツクママ





   ◆ 前立腺がん 【e93】


July, 2018
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 ● 前立腺肥大症〜前立腺がん PSA 監視療法
 
 後期高齢者にもなると心身ともに自分では元気だと思っていても、いろいろと体にガタが来ます。記憶力も落ち認知症の心配も‥‥(涙)。

 10年前(68歳の時)初めての入院、S病院で前立腺肥大症の手術をT先生にお願いして以来、経過はすこぶる良好で排尿も健康状態も普通の生活を享受していました。
 1年半後、検査入院で前立腺が再び、少し肥大しているとのことで前立腺の摘出も視野に入りましたが、年齢との考慮の上、前立腺肥大は薬による療法で治療を受けることにしました。2009年に前立腺肥大症の治療用として承認され、保険適用されたアボルブという良い薬があるとの事で服用、効果は絶大で前立腺が徐々に縮小、落ち着いていました。 (しかも、薬の別作用で髪がふさふさ…?(笑)、AGA(男性型脱毛症)の治療薬としてもつかわれている。 AGAの治療薬としては認可されていないので保険は適用外…薬価は結構高い)

 最近の定期健診でPSA 値(前立腺がん早期発見のための検査)が4(2022年7月現在・高感度PSA値6.430)を検出しました。いままで年齢と共に数値が少しずつ増えていたのですが診察の結果から、M病院でMRIを撮ってくるようにと指示されました。 
 自分の場合はアポルブを服用しているので通常より低く表示、実際は2倍としてPSA 値は8と見るとの事でがんの疑いがありという事になりました。

 MRI検査の結果腫瘍が見つかり、さらにT先生から前立腺生検(がんが疑われる組織を採取し顕微鏡で観察、がんであるか、がんの場合、その悪性度を確認します)を受ける事になりました。2泊3日の入院で部分麻酔です。麻酔が効いていて痛くもかゆくもありません、しいて言えば点滴の注射が嫌いなだけですぐに病院から逃亡!。 これらの検査結果から、がんの進み具合の分類ではT1c、グリーンスコア(悪性度)は3+3=6 で比較的進行の遅い高分化型の前立腺がん。

 治療の選択肢は
@前立腺を全部取り除く手術(期待余命10年以上…?) 最近は手術支援ロボット(ダヴィンチ)による腹腔鏡下全摘除術が広く行われており、腹部を切らずに穴を5〜6ヶ所空けてカメラや鉗子を取り付けたロボットアームを押入して医師が遠隔操作します。三次元の視野で精密な内視鏡画面を見ながら精度の高い手術が出来、開腹よりも手術時間も短く、出血、合併症も少なくて早く退院できるそうです。

A放射線を外部から照射、がん細胞を破壊し死滅させる治療、又は放射線を発する物質を前立腺の中に埋め込んで内部から照射する組織内照射治療(これは前回,前立腺手術をしているので難しいとの事)で、治療期間の長さと放射線による副作用が心配。

B監視療法 前立腺がんの進行は一般的に非常に遅く病状の悪化を示さない限り積極的に治療を行わないで定期的にPSA 値等の検査を行い経過を見る方法の選択肢もあるとのT先生の見解。

 歳が年ですからね〜 現在78歳、がんの進行より他の病気で寿命を全うすることもあり、治療等によっては合併症(排便、排尿障害、尿もれ、他臓器への影響)のリスクも考えられる。

 3D支援ロボット(da Vinci Si)による最新手術でバッサリと考えていると……大学病院で一度診療・相談を受けたらとセカンドオピニオンのアドバイスを受けました。 承諾するとすぐに大学病院の泌尿器科のU准教授(現・教授)に直接電話をして頂き診療を予約。紹介状とMRIのフィルム写真、前立腺生検のプレパラートの資料を託されました。

 予約日に、病院での血液検査と持参の紹介状、資料等を手渡し、前立腺がんについて治療法の説明をして頂きました。後日、この資料を精査、病院での血液検査、PSA値の結果等で最良の治療方針を検討するということになりました。

 2週間後に診察の結果、概ねT先生の診断、治療方針とも合致、監視療法を選択することにして定期的に検査をして経過観察をすることにしました。前立腺肥大症の治療薬は従来のアボルブとユリーフの服用を継続することになり、他に内服薬・治療薬等は服用していません。
 以後の定期健診は病変後の治療・手術を考えて大学病院にお願いし、落ち着いたら元の病院に通院することになりました。

 この結果は二日後、S病院のT先生に報告。(すでに直接聞いておられました)
特に前立腺肥大症の手術以来、自分の信頼する先生でしたので今後の事もお願いしました。いつでも担当日に予約、又は直接外来でも良いから来て下さいとの事、とても感謝しています。現在は普通に健康な生活を送っています。

 ‥‥なんだかんだと忙しく、この猛暑の夏に山歩きは自制して控えています。
 また、今年は大阪北部の地震、西日本の大水害で多くの人々が被災されました。お見舞い申し上げます。自分も涼しくなると前を向いて元気に歩いてホームページの更新を目指します。今後もどうぞよろしく。

● 追 記
 最近では検査方法が進歩し簡単にがん細胞の発見が容易になりました。前立腺がんは年齢とともに増加、特に65歳以上に多く、80歳以上では20%前後の人に前立腺がんが認められるともいわれています。この年齢にもなると比較的進行がゆっくりで、寿命には影響を及ぼさないと考えられるそうです。

 2017年の日本人男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.26歳と言われ、期待される余命が10年として余命と体力を考慮して、手術対象者は75歳前後として考え80歳には手術例が少ないという。
 「悪性度が低く、年齢の高い人」は他の原因で亡くなるのがほとんどで、前立腺がんでは亡くならない。一方、「悪性度が高く、若い人」は前立腺がんで亡くなる人が圧倒的に多いので、できるだけ早く根治的治療をした方がいいといえるでしょう。
 今回の前立腺がんについては後期高齢者での早期のがん発見で、それもがんの進行が遅いと言われる前立腺がん、それよりも寿命が先に迎える可能性を考えると、手術の副作用のリスク、手術費用から考えてPSA 監視療法を選択しました。自分の将来の寿命を改めて考え直す機会となりました。    July. 25, 2018  

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