修験道の行場をめぐるコース、犬鳴山表行場を高城山に登山をしてきました。 大阪府下、泉佐野市に位置する犬鳴山
七宝瀧寺・葛城二十八宿修験根本道場は葛城修験道の道場である。
「現在は
行場につき修行者以外の方の通行を禁止 となっています」
修験道の開祖、役小角が修験道の聖地と言われる大峰山を開く6年前に開山(661年)された道場である。谷間の犬鳴川を挟んで表行場(右岸)と裏行場(左岸)がある。
今回は七宝瀧寺(しっぽうりゅうじ)表行場から高城山(649m)に登山、同行者がいなかったので一人で歩いてきました。
JR日根野駅(関西空港と和歌山の分岐点)から犬鳴山終点のバス停まで22分、9時41分に到着。バス停からは直ぐに古びた温泉街、そして参道へと続く。
帰りにはこの温泉でゆっくり疲れを取って帰る事にしよう。
温泉街も過ぎ、しめなわの張られた一の橋を渡ると七宝瀧寺の参道で渓谷沿いの道にせせらぎの水音が響く。大きな岩があちらこちらと、渓流には大小の滝が、厳かな雰囲気が漂う。
ほどなく七宝瀧寺に着く。
更に先に進み、朱塗りの橋を渡り30分余り本堂下に着くと広場には巨大な不動明王の姿が私を睨み見下ろしている。
ここには休憩所もあり一休みをする。ここからさらに100mほど直進すると朱塗りの本堂があり、綺麗な床張りの上を土足可とありそのまま上がる。社務所の人に高城山の事を訪ねると此処は修行を行う道場であり、一般の登山道ではないので無責任に答えられない。
事故も多くあり、自己責任で歩いて下さいとの事でした。
本道を抜け奥の引き戸を開けて外に出ると、此処は行場である。
目の前
の行者の滝が大きな水音を立てて流れ落ちている。ここで滝行をするのである。滝の上部から中央に鎖が取り付けられており山岳宗教の厳しさの一端が垣間見られる。
赤い鳥居の奥には行者の像あり、その下に行者くぐり岩がある。安全を祈ってくぐってみた。
水行をしている人がいないので朱塗りの橋を渡って滝の下まで足を進める。
少し戻って滝を右に、左に朱塗りの鳥居が見られ、此処の元山上が岳の道標に沿って登る。 ここは大峰山より古く開かれた行場道で登山道ではない(現在は通行禁止)。 右に行者の滝が見える。
10時25分、いよいよ此処から急で大きな岩石がゴロゴロした登りになる。
ロープが張られていてそれに捕まりながら足場の悪い岩をつかみ、岩によじ登り、無我夢中で脇目も振らず登る、誰一人見当たらない。
急な登り、鎖場も短いがある。 岩で道を見失うようになるが張られたロープが目安になる。 肝を冷やすような行場が続く。 やがて役の行者像の祠と護摩壇ある般若心経塚に、更にこの上が山上大権現葛城修験犬鳴山内28宿第21番山上大権現である。 登る事約50分ここ
で表行場は終わった。
時間は11時15分ひと息つく、この歳(古希)で無事に表行場を終わる。
ここからは岩場が無くなったが急な直登になる。 ロープが張られているのでこれにつかまりながら右に左にと登る。
途中で昼食をしながら約1時間、高城山山頂(649m)12時10分に到着。
見晴らしは良くない。
少し戻ったところから左下に五本松方面(和泉葛城山)への林道が見える。 また林道を経て反対に本堂下まで戻る事ができる。 ここで余力がまだあったので高鍋山(569m)に向かう事にする。
この後は
南斜面のコッツキ谷道を歩いて下山する予定でした。 高城山からゆるやかなくだり道を歩く。 途中から落ち葉にうずもれた荒れてはいるが簡易舗装の道になる。 五本松からの林道の支線である。 それもしばらく歩くと地道になり、それまで左、南側に曲がればよかったのを直進する。 歩く人もないのだろう荒れた道が続く。 高鍋山を過ぎた事に気が付き、コンパスで確認すると北方向に歩いていた。 戻ろうかと思ったがそのまま進む事にした。
しかし人が歩かないのかいつの間にか道が無くなりけものみちになる。 急な斜面は落ち葉積もった原生林で足場が悪い。
かろうじて尾根筋を見つけて歩いているのでどちらに下ろうか、しかし南側は急な斜面に雑木の倒木が多く見通しが悪い。 北側を見ると熊笹の茂る遥か向こうに杉の植林が見える。下刈りもされているようなので人の手が入っている。そちら側に降りる事に決めた。
雑木や落ち葉の積もった急斜面をすべるように降りて、杉木立の中に入ると斜面はきついが歩きよい。 谷の方角から水音が聞こえ、対岸を見ると林道がかすかに見える。 谷間を流れる小さい川は大きな飛び石がおかれて人の通る形跡がある。 冷たい水で手を洗ってから対岸にある林道に2時30分出た。 後は村に向かって歩く。
野良仕事をしている人にバス停を聞く。
「ここにはバスが走ってないよ」 「エエッ 此処はどこだ!」
犬鳴山の反対側、秬谷(貝塚市)である。
ふれあいバスがあるが5時過ぎでないと走ってこない。 一番近い所で水間観音、水間鉄道がある。 歩いて4km以上、普段では問題ないが、疲れた足にはこたえる。 ヒッチハイクを決め込もうとしたが午後のこの時間1kmほど歩いたが車が一台も通らない。
秬谷(きびたに)トンネルを抜けて秬谷橋の麓の石の上で昼の残りのデザートを食べていると微かに自動車の音、しめたと思ったら通学バスである。 その後にやっと軽自動車が走ってくる。座ったまま手でサインを出す。 少し行き過ぎて止まってくれた。 ご夫婦でライトバンの後ろには荷物があり、あきらめて歩きますからと手を振ると狭いですがどうぞといってくれる。 甘えて近くまで同乗させていただく。
いろいろ話しているうちに分岐点に、 「何処からですか」「大阪市内から」 「じゃ JR熊取駅まで送ってあげましょう」
丁重に断ったのですが親切にも送ってくれるという。
この世の中親切な方が大阪府下にはまだまだ多くいらっしゃるんですね。(前回のヒッチハイクも含めて)本当に有り難うございました。
前半は岩石との戦い、後半はブッシュとの戦いでした。 そして犬鳴山温泉には入浴する事は出来なかった。次回の楽しみにする事にしました。
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歩行距離:約6.92km 歩行時間:0時間00分
関連ページ 大阪・
犬鳴山七宝瀧寺【198】 犬鳴温泉 リベンジ入浴
岸和田市・
牛滝山大威徳寺【192】